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2009年11月28日 土曜日

"TALK LIKE SINGING"への旅 その2

 その2。劇場とお芝居そのものの感想など。 (その1「前書き」からならばこちらから。)



 今回の劇場のNYUスカーボール・センターは約800席。中2階と2階があり、日本で言うと規模的にはシアターコクーンとか世田谷パブリックシアター規模なんだと思いますが、2階がかなり前に出ているので、コクーンやパブリックシアターより客席がかなりこじんまりと感じました。2階でもかなり舞台に近いという印象。日本で慎吾をあの距離で、それも(映画の舞台挨拶などではなく)2時間たっぷり堪能できる機会はそうそうありませんから、それだけでもNYまで行った甲斐はあったなーと感じました。日本公演は赤坂ACTシアターだそうですが、まずは舞台自体の大きさが横幅も奥行きも赤坂のほうがかなり大きいはずなので、4人芝居であのACTシアターの舞台をどう埋めるのか、演出がどう変わるのかも凱旋公演の興味のひとつでしょうか。

 そして観客層ですが…慎吾さん…君のヲタはまだまだ若いと思ってたんだけどねぇ、今回若干認識が変わったかも(苦笑)。ワタクシ自身は慎吾ヲタの中では最高齢オバサン層だと自覚してるんですが、日本から来ているらしきLadies(笑)もおねーさま層がかなり多そうで、いつの間にか慎吾さんと一緒に皆で歳を取ってしまっているのか、それとも、NYくんだりまで慎吾の芝居を見に行ける資金力がある層がこれってことなのか…と苦笑。が、あれだけの人数が日本からわざわざこの芝居を見に来ているかと思うとやはり「SMAPの香取慎吾」の底力を感じざるを得ません。
 そんな日本から飛んできたヲタ層以外で多そうだったのが在米邦人の方々でした。確かにマンハッタンで日本語の芝居、それも三谷幸喜と香取慎吾という看板があれば、現地の日本人の方々は見てみたいと思われるでしょうね。そういう意味でも「三谷幸喜」と「香取慎吾」のネームバリューを改めて見せ付けられた客席だったように思いました。

 さて、今回の『TALI LIKE SINGING』ですが、主役が慎吾でなければならない必然性があるかないかは置いといて(笑)、三谷先生がこの芝居でやりたかったことは感じられたような気がしました。オフブロードウェイで演じるという条件(というか制約?)の上での究極のシチュエーションコメディと言えたのかもしれませんね。
 客席には日本人とアメリカ人。日本語しか分からない人と英語しか分からない人と両方が分かる人という3種類の人間がミックスされている劇場は、日本でもない、他のブロードウェイやオフブロードウェイでもない、まさに異空間という感覚でした。そして、その中で観客の誰もが楽しめるように、必要以上に言葉に頼らずに日本語だけでも英語だけでもある程度理解でき、込み入ったストーリー展開に頼らなくても面白いと思わせる芝居を三谷先生は作り上げようとされたのかな、と思いました。
 同じ芝居の最中なのに日本語が分かる人が笑うところと英語が分かる人が笑うところがそれぞれ違っていてそれがごちゃまぜになる、そして、やはり日本より観客の反応が大きくてストレートに伝わるあたりの客席の雰囲気の面白さがありましたし、三谷先生も作品の中でそういった面白さを引き出そうとされていたのかな、と感じました。この舞台のことが発表になった当時はなぜオフブロードウェイで演らなければいけないのかなーと思っていたのですが、実際に客席に座って芝居を見てみるとこの芝居はオフブロードウェイという場所であることで完成される芝居であり、オフブロードウェイでなければいけなかったのだと痛感しました。そして、そんな稀なトライアルに三谷さんが慎吾をアサインしてくれたことに改めて感謝し、改めて自分がその客席に居られたことを感謝しました。今回の芝居、本来の意味で「ブロードウェイデビュー」とは言えないのでしょうが、ある意味それ以上に後にも先にも「例のない」「意味のある」経験になったのかもしれません。
 ただ、この芝居の面白さが「違う人種や違う背景を持った観客たちがいつもと違う環境に身を置いていること」という要因を一因としているとすれば、この芝居を日本に持って帰った時にどうなるんだろう?と感じました。このままの脚本と演出で日本に持って帰っても同じ面白さが感じられるとは思えないし、先にも書いた通り舞台の大きさも違う。日本の凱旋公演は違う意味でハードル高そうだなー(苦笑)。そういう意味では凱旋公演に対しては違う観点での興味が大きくなったように思います。凱旋公演に関しては、慎吾や他のキャストの皆さんに対してよりも、三谷先生の「お手並み拝見」といった感じかな。期待してますよ、三谷せんせー(笑)。



(その3「ヲタ的感想」へはこちら。)

posted by 真琴 at 15:18